お仏壇の洗浄(クリーニング)について
お仏壇の洗浄作業では、仏壇本体の分解⇒洗浄⇒すすぎ⇒乾燥の工程となります。仏壇本体そのままで洗浄しますと、漆のメクレ、ヒビ割れ、欠け、木地の膨張、引き出しの固着など思いがけない不具合が出る場合もありますので、当工房では必ず仏壇を丁寧に分解してから一品一品、丁寧に洗浄作業をします。
金仏壇はほとんど完全に分解できますが、唐木仏壇、家具調仏壇等は新調、製造時に接着剤やタッカー(ホチキス)で固定しながら組み立てるので完全分解はできず、分解できるところまで分解しMDF(水分を含むと膨張します)を含む部品に注意しながら洗浄作業を進めていきます。
《重要》分解せずに洗浄だけやって!とおっしゃるお客様は、後々の仕上がり不良による不満足な結果を防止するため申し訳ございませんが、ご依頼をお引き受け出来かねる場合がございます。こちらの方針は、お客様を大切にする当店の姿勢を表したものです。
どうぞ、ご理解くださいませ。
ここに、当工房職人の『高い仕上がり品質でお届けしたい』という熱意をお伝え出来ると思います。
自社工場で金仏壇の外扉(雨戸とも呼びます)に特殊な洗浄液を軽くひと吹きしました。ローソク、線香のヤニ汚れが流れていきます。
自社工場で分解した金仏壇の横板を洗浄しています。
お客様宅の庭先での洗浄作業です。環境に優しい特殊な洗浄液で洗います。
洗浄(クリーニング)とお洗濯(洗い)の違い
【洗浄(クリーニング)】と【洗濯(お洗濯・洗い)】の違いのご説明です。
洗浄(クリーニング)⇒ ローソクや線香の油煙ヤニや頑固なホコリだけ洗い流します。洗浄液は高額ですが全体としては短期間で仕上がり、費用が抑えられます。
お洗濯(洗い)⇒ 漆や金箔、金粉を薬品に溶かして洗い流すという意味です。最初から塗り直しし、金箔押し直し金粉蒔き直しをします。薬品(カセイソーダ)は安価ですが、全体の費用は新調するほど高額となります。
お洗濯は、ご予算に余裕のある方向けとなります。
欄間の洗浄前後です。左と右で違いがわかります。
使用する洗浄液について
当社開発の環境に優しい特殊な洗浄液は、金箔や漆を傷めず安全安心なものとなります。お客様宅、寺院本堂内での使用でもご安心頂けます。
適切な使用方法で金箔に付着している汚れが落ちて行き、輝きを復活させることが可能です。
市販の洗浄液は仏壇仏具店扱いで出回っていますが、洗浄力が強く薄め度合いや作業方法を間違うと、失敗することもありますので注意が必要になります。
金箔押し直し(全面押し直し又は部分補修)
傷んだり弱ったりしている金箔を洗浄しても、効果が出ない場合があります。その場合は下地を塗り直すなどで金箔押し面をきれいに整えてから、金箔を押し直します。金粉仕上げのものは金粉蒔き直しで補修します。
画像は金箔全面押し直しのもので一番確実によみがえる方法ですが、ご予算に応じてより費用を抑えた安価な方法で部分補修を施す方法もお選び頂けますが、金箔部分補修は補修跡が目立ってしまう場合があります。
金仏壇外扉(雨戸)の金箔押し直しです。
外扉の金箔は一番見える部分になりますので、慎重、熟練された作業が求められます。見積もり、洗浄、塗り、木地補修、組み立て、金箔押し直しなど1人の職人で色々な作業をこなす「多能職人」がおりますので、相場よりも費用を抑えることが可能です。
金箔、金粉は本金(純金)を使ったものであり、純金価格相場の変動で施工料金が変わることがございます。
中国の人々が投機、投資目的で本金を買い占めているため、本金価格の値上がり局面が続いていますが、施工価格に反映して不満足な結果を招かないように努力を常に致しております。
金仏壇内部には伝統工芸的な彫刻が多数あります。
彫刻は洗浄できれいになりますが、金箔が弱っていたり下地がザラついて状態が良くない場合はきれいに下地を塗り直してから金箔を押していきます。
飾り金具の再生(洗浄、本金メッキ、塗り直し)
飾り金具のビフォーアフターです。金具を取り外し、専門の金メッキ工場にお願いして処理してもらい甦った金具を打ち込んで取り付けました。古い釘の再利用はおこなわず新品の釘で打ち込みます。
飾り金具は様々な状態に応じ、最適な方法できれいにしていきます。
洗浄、本金メッキ、金箔押し、金粉蒔き、塗装等で仕上げていきます。10~20年以内の比較的新しい仏壇の金具は洗浄だけで蘇ることが多いです。
本金メッキは専門の工場に依頼し3~4週間で新品のようになって納品されます。金粉蒔きは多少費用がかかりますが落ち着いた仕上がりになります。
法事法要が一週間後に迫っている時など数日間で仕上げたい場合は、耐久性の面からあまりお勧めできませんが金箔押しの方法もあります。
塗装は茶色系や黒色系で外扉(雨戸)の飾り金具に施します。
劣化しにくい耐久性のある仏壇用の金属向け塗料で塗り直すかコーティングします。昔は本漆で仕上げるのが主流でしたが現在はこの方法が多くなっています。
『色戻し』と称し、ホームセンターで販売しているラッカーやペンキで済ませている仏壇クリーニングも多々出現しており、この方法は耐久性が落ちますのでご注意願います。
飾り金具は様々な処理を施した後に、新品釘で打ち込みます。釘の種類は豊富に取り揃えており、金具や木地の釘穴に合わせて適切なサイズの釘を使用します。
金仏壇でおよそ50~400枚を打ち込みます。唐木仏壇は20~50枚です。全国でも一番豪華と言われている名古屋仏壇や三河仏壇の横幅120cmの大型仏壇は、約900枚近くになります。
近年に立ち上がり開業している仏壇クリーニング業者で黒釘や金釘を全く使用せず、ホームセンター扱いの真鍮釘3種のサイズのみで粗悪な仕上げをするケースが増えていますので、業者の選び方を間違えないことが望ましいです。
業者の選び方へ⇒
蒔絵のクリーニング、修復
蒔絵は洗浄、コーティング、部分描き直し、全面描き直しなど、いずれかの方法できれいに甦り再生できます。
描き直しは別途お見積もり致します。
太陽堂では、お客様宅出張クリーニング、工場持ち帰りクリーニングでは金仏壇を分解しますので蒔絵も分解して外します。
唐木仏壇は蒔絵が無いのがほとんどですが、大型唐木仏壇は蒔絵が描かれているものもあります。
仏像(ご本尊)の洗浄クリーニング
お客様宅内で仏像の洗浄クリーニングです。
お客様の目の前での作業で、心を込めて永年の汚れを落としていきます。金箔が弱っていると剥げて黒くなるので、金箔押し直しで部分補修します。
比較的新しい仏像(ご本尊)の洗浄前と洗浄後です。
金箔、金粉、漆を傷めない特殊な環境に優しい洗浄液で輝きを取り戻すことができます。
お洗濯の場合、数十万円の費用が必要なところを、こちらの洗浄方法で数万円で済み、余分な出費が抑えられます。
組み立て、完成、納品
分解した部品を一品ずつ丁寧に洗浄や磨き、仏壇を元通りに組み立てていきます。
仏壇本体の歪み(ゆがみ)、傾きは洗浄クリーニングで直ります。外扉(雨戸)、内扉の建て付けも同時に直ります。
外扉、内扉の反り、ねじれは直りません。ご予算に応じ新調で対応致します。
仏間に格納して完成、納品させて頂きます。
完成納品後の記念撮影です。
個人情報保護の社会情勢になってきている中、お客様のプライバシーや肖像権の問題もありこのような形での記念写真を撮影することはほとんどございませんが、こちらの画像はお客様に特別にご承諾を頂いております。
※記念撮影をご希望のお客様は、ご遠慮なくお申し出下さい。
ページの一番上に戻る